長時間のデスクワークが痔の原因になる
痔になるきっかけの一つが、“長時間のデスクワーク”。
座り仕事の人にとっては避けられない日常ですが、なぜ痔を引き起こすのでしょうか。ここではそのメカニズムや、予防方法についてご紹介します。
デスクワークがいぼ痔の原因となる理由
いぼ痔は肛門の周りに網の目の様に広がる血管・静脈叢が何かしらの要因で強く圧迫されて、鬱血してしまうことで引き起こされることがほとんどです。
便秘による排便時の強いいきみを原因とすることが多いため、日頃から快便で過ごされている人たちには一見無関係と思われがちの症状ですが、実際はそう単純なものではありません。
実はオフィスなどでデスクワークをされていらっしゃる方々の中にも多く発症が見られる痔の症状なのです。
そうなってしまう理由はずばり“座りっぱなし”という姿勢にあります。
座りっぱなしが痔の原因になる理由は長時間肛門を圧迫するため
お尻(肛門)は人間が座る際に、最も強く圧迫を受ける部位であり、デスクワークなど長時間の座り仕事になると、圧迫状態が継続され、血流も停滞し、その結果ひどい鬱血を引き起こしてしまいます。
デスクワーク以外にも座りっぱなしの職業であれば同じように注意が必要で、例えばタクシーやトラックの運転手などにも多く見られる痔症状です。
仕事・プライベート問わず1日を振り返って、座りっぱなしの状態が長時間あるという人なら、誰もが注意すべき痔の症状といえるんですね。
また意外と思われるかもしれませんが、“立ちっぱなし”も、いぼ痔の要因となり得ます。
逆に、立ちっぱなしも痔の原因になるので要注意
人間の血液は重力によって下半身に集まりやすく、また立っているというだけで腹部に力がかかるために、その付近の肛門が圧迫され鬱血しやすい状態になっているのです。
“座りっぱなし”も“立ちっぱなし”、そのどちらも肛門の負担となり、いぼ痔の要因になるということを理解しましょう。
長時間のデスクワークをしている人が痔を予防するための方法
「座りっぱなしも、立ちっぱなしも、仕事であれば仕方がない」とあきらめてしまった方はいらっしゃいませんか?
ここでは仕事中でも実践できる、簡単な予防方法をご紹介。
さらに自宅に帰った後でもできる効果的なリフレッシュ方法も合わせて紹介します。
同じ態勢を取らないように適度に動く
単純にして非常に高い痔の予防効果として期待できるのが、同じ態勢を続けないことです。
座りっぱなしのお仕事であれば、1時間に1回など、決まった時間に立ち上がってみてください。その際少し歩くだけでも効果が増し、軽く体操をすればより効果的です。
休憩時間を設けて行うのでもよい手段です。
立って休憩中しろというのも変ですが、逆にずっと座りっぱなしの仕事であれば、立って過ごす方が気分もリフレッシュできるものです。
逆に立ちっぱなしの方は、楽な態勢で過ごしたり、同じく軽く運動をしたりするようにすれば、鬱血は緩和されていきます。
お尻(肛門)の負担を緩和するアイテムを活用する
世の中にはお尻に優しいグッズやアイテムが多数ありますので、そちらを利用するのも予防としては効果的です。
代表的なものに肛門の負担を和らげる「ドーナツ型クッション」があります。
こちらのクッションは痔になってから痛みを緩和するためだけのものではなく、痔にならないように常日頃から肛門の負担を和らげるものでもあります。
腰痛やヘルニアの改善などにも効果があるとされているので、そのあたりが気になる方も含めて、積極的に活用することをお勧めします。
日々の入浴で鬱血状態を緩和する
仕事を終えて、一日の疲れをリフレッシュさせてくれる入浴は、鬱血状態のリフレッシュにも効果てきめんです。
お湯によって肛門付近が温まると、静脈叢の血流も良くなり、鬱血状態が改善されていきます。
シャワーでもある程度、温めることができますが、やはり湯船に浸かっての入浴が理想。その際、湯温は熱すぎず、ぬるま湯に設定し、半身浴でもよいので、じっくりと時間をかけて浸かるようにしましょう。
浴槽の中で股を広げて、肛門にしっかりとお湯が当たるように意識すればより高い効果が望めます。
ただし、痔の症状によっては入浴が逆効果になることもあるので、詳しくは、痔を予防するための正しい入浴方法と入浴時の注意点ページをご覧ください。
デスクワークといぼ痔の関係を理解したら
デスクワークを始めとする座りっぱなし、さらに立ち仕事による立ちっぱなしはどちらも、静脈叢の鬱血を引き起こす要因となります。
簡単に行える予防方法を実践し、日頃から鬱血するのを防ぐようにしましょう。万が一、いぼ痔になってしまった場合は、それ以上悪化してしまわないように痔の予防方法と同じ行動をとりつつ、すぐに検査・治療するようにしましょう。
痔の治療については、痔の症状に合わせた治し方を選択いただければと思います。