深酒が痔の原因となる理由
お酒と痔。
一見何の関係もないように思われますが、実は深酒をしてしまうと、それをきっかけに痔を発症してしまうことがあります。
では、なぜ深酒をすると痔を発症させてしまうのか、その理由について解説します。
深酒をすると体ではどのようなことが起こるのか?
常習的に深酒を繰り返すと、肝臓などの消化器を中心に、循環器、筋肉、神経など全身の臓器に大きな負担がかかり、脂肪肝や高血圧、手足のしびれなどのほか、重度のものになると肝硬変や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクを上げてしまいます。
その中には、下痢や血流の乱れといった各種痔の発症に結び付くような症状も含まれています。
では、なぜ深酒が下痢や血流の乱れを引き起こしてしまうのか、またそれらの症状がどのようにして痔の発症につながるのかについては、次の項目で説明していきます。
下痢が切れ痔を引き起こす
痔になる原因ページでも詳しく記載していますが、下痢は切れ痔の原因となります。
深酒が下痢を引き起こす理由は大きく2つあります。
- アルコールの影響
- 水分の摂りすぎ
それぞれについてさらに詳しくご説明します。
アルコールの影響により
アルコールは胃や小腸で水分や栄養の吸収を手助けする酵素の働きの邪魔をする特性を持っており、この影響で食べ物がきちんと消化されないまま大腸へと送り込まれます。
またアルコールは大腸の動きを活発化させるため、通常は大腸で吸収される水分がきちんと吸収されないまま、下痢となって肛門へとたどり着いてしまうのです。
水分の摂りすぎ
朝や昼の食事ではコップ一杯の水分で十分という方でも、酒の席になるとその何倍もの量を短時間で摂取することがあります。
摂取する水分量が膨大になると胃や小腸だけでの吸収は困難になり、当然大腸でも十分に吸収されないまま肛門へとたどり着いてしまいます。
ただでさえ辛い下痢ですが、便秘による硬い便と同じく、切れ痔の主な原因となっています。それは下痢が肛門から勢いよく出る際に、周辺の皮膚を切ったり裂いたりして、出血や炎症を招いてしまうからです。
また短時間で排便が繰り返すことで、何度も紙で拭くことになり、弱った肛門をさらに傷つけてしまうリスクもあります。
血流の乱れが、いぼ痔の原因に
飲酒によって体内にアルコールが入ると、それを排出するために血管が拡張され、血流が促進されます。
その結果、体が温まったり、疲労回復に効果があるなど良い点も見られますが、あくまでも少量の飲酒でのお話。
深酒などによって過剰にアルコールを摂取すると、動脈の血行が良くなる一方で、静脈がその働きに追いつくことができず、やがて血流に乱れが生じるようになります。
肛門周辺には細い静脈が緻密かつ立体的に密集した静脈叢が存在しており、体内で血流が乱れることで、静脈叢の鬱血が始まってしまいます。静脈叢が鬱血によって腫れると、いぼ状の患部が形成され、やがていぼ痔へと発展してしまいます。
他にもお酒が原因で痔になることも!
深酒による痔のリスクは下痢や血流の乱れだけではありません。
大型連休中などに連日深酒をしてしまうと、睡眠時間や食生活などの生活リズムに乱れが免疫力の低下を招いてしまいます。
免疫力が低下すると、下痢や血流の乱れに加えて、いぼ痔や切れ痔の主な原因となる便秘を引き起こしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
痔を発症した状態での飲酒はNG!
痔が発症してしまった状態で、飲酒を続けてしまうと、症状が治まるどころか、ますます悪化してしまいます。
治療が完了するまでは深酒はもちろんのこと、少量の飲酒も可能な限り控えるようにしましょう。
また痔という病は、飲酒をやめるだけで治るという簡単な病気ではありません。専門の機関で検査して病状を正しく理解し、根治のために適切な治療に臨むようにしましょう。
深酒が痔の原因となる理由を理解したら
適度な飲酒は健康に良いと言われていますが、飲みすぎは危険な行為です。
痔の原因にもなりえてしまうので、適量を嗜むようにしましょう。
また万が一、痔を発症してしまった際は飲酒を控えて、速やかに検査・治療するようにしましょう。